2024.08.24
8月22日(木)に『ナミビアの砂漠』ジャパンプレミアを開催。舞台挨拶&ティーチインの様子をお届け!
舞台挨拶には、河合優実、金子大地、寛一郎、山中瑶子監督が登壇。
主人公カナを演じた河合は、満員御礼の会場を前に「本当に本当に皆さんにこの映画を見てもらえることが楽しみで待ちきれない作品でした。この日を無事に迎えられて、お一人お一人に作品を届けられることに嬉しい気持ちがあります」と感慨無量の様子で挨拶した。
日本人監督だけでも青山真治監督、黒沢清監督、濱口竜介監督ら錚々たる面々が受賞してきた国際映画批評家連盟賞。山中監督は「映画が好きで監督を目指していた時に見て影響を受けたり圧倒されたりした映画たちが受賞してきているので…受賞以来ずっとピンときていないです。でも今日こうして多くの方々に作品を見てもらえれば実感できると思います」と照れ笑い。
登壇メンバー全員が映画祭に参加した。寛一郎は「受賞の際はグループLINEに大量のメッセージが飛び交っていた。時差があったから僕は眠かった」と笑わせつつ「でも非常に素晴らしい事です」と祝福。河合は「カンヌにみんなで行けたことで、撮影前よりも仲が深まったと思う。上映も観客の皆さんの反応がダイレクトに伝わってきたので、自分たちが面白いと思って作った作品が海を越えても伝わるんだと驚いたし嬉しかった」と喜色満面。海外映画祭初参加という金子は「もう最高でした!海外の映画祭は初めてだったので贅沢だなと。僕は完全に浮かれていました」とハイテンションだった。
高校時代、河合は映画館で観た山中監督の『あみこ』に感銘を受け、女優になる事やキャスティングして欲しい旨をしたためた手紙を山中監督に渡していたという。そんな念願の初タッグに河合は「そこから5年くらい山中監督とは一度もお会いすることはなかったけれど、今回一緒に映画が作れる事になって…。当時の自分に伝えたらビックリするだろうと思います」としみじみ。山中監督も「この5年間で河合さんの事を映画などで見かけるようになって、あの約束はまだ効いているのかなと。かなりお待たせしてしまいましたが、脚本を書く前の段階から河合さんの存在には背中を押されていたので、“感無量”という言葉を今初めて使いたい気持ちです」と相思相愛を表すと、河合も「良かったです、どちらかが忘れているとかではなくて相思相愛で」とはにかんでいた。
フリップトークのコーナーでは、自分自身にキャッチコピーをつけることに。金子は「陽気な小心者」と自己分析し「人前でふざけるのが好きだけれど、大人数の前に立つとビビる」と解説。しかしこれに寛一郎は「小心者だとは思わない」、河合は「まったくそうは思わない」と否定し、金子を「それを言ってほしくて書いた、みたいに思われない?」と困惑していた。
寛一郎は「天邪鬼でわがままな飽き性」と分析。これに金子は「寛ちゃんは色々と考えているのでお兄ちゃんみたい」と言い、河合も「我儘なところは見たことがない」と不思議がっていた。
一方、河合は「プロクラスティネーター」と聞き慣れない横文字で発表。寛一郎に「はい?プラズマクラスター?」といじられる中、河合は「最近家族に教えてもらった言葉で、先延ばし癖のある人の事をそう呼ぶそうです。横文字なのでキャッチコピー風にしちゃいました」と解説した。これに寛一郎と金子が「だったら俺もプロクラスティネーターだ」と自らの属性も同じだと主張すると、山中監督も「私が一番そうかもしれない。だってずっと脚本を待たせていたわけですからね」と言い、全員がプロクラスティネーターを自称する展開となった。
笑いの絶えない舞台挨拶もあっと言う間に終了の時刻に。最後に河合は「私にとって『ナミビアの砂漠』は思い入れのある作品で、スタッフ・キャスト全員も作品への愛が強くてみんなで楽しく自由に作りました。そんな作品を多くの皆さんに見ていただけるのは幸運なことだと思います。皆さんには心をまっさらにしてもらって、それぞれの楽しみ方で見ていただければ、ビックリしていただけると思います。上映を楽しんでください」と上映を待ち望んでいる観客に呼び掛けた。
そして、上映後には興奮冷めやまぬ中、河合優実、金子大地、山中瑶子監督が再び登壇しティーチインを実施!
上映後の夜遅い時間帯にも関わらず、ほとんどの観客が残って実施されたティーチイン。画面サイズをスタンダードサイズにした理由について問われた山中監督は「カナは注意散漫な人だけれど、観客にはカナに集中して見てほしかったので視覚的な情報が限られる一番小さなサイズを選びました」と狙いを説明。その撮影を担った米倉伸について河合は「映画を作ることを楽しんでいる方で、撮りながら笑ったり、泣いたり、それら反応を恥ずかしがらずに見せてくれるので私自身も楽しかった」と人柄に感謝。金子も「この映画のチームにおいて欠かせない存在で、山中さんとの相性も良くて真摯に作品に向き合うムードを作ってくれました」と述べた。
刺激的なハヤシ(金子)と優しいホンダ(寛一郎)、どちらが理想的恋人か!?論争では、金子は「僕はハヤシ!いい奴だと思います。僕は今、カナのつもりになって言っていますよ!」と演じたハヤシの肩を持ち、河合は「冷静に考えるならばホンダと一緒にいた方が楽。でも私はカナの気持ちでいるのでハヤシ!ごめんなさい、ホンダ!」と金子を喜ばせた。山中監督は「カナは振り返らない人なのでハヤシだと思う。でも書いている私としてはホンダがいい」とホンダ派で、会場の観客のほとんどがホンダを推すと、ハヤシ役の金子は「え?なぜ?おかしい!」と冗談めかしながらハヤシを猛プッシュしていた。
好きなセリフを聞かれると、金子は「カナと同棲しようとした矢先にハヤシが言う『幸先悪いな』というセリフ。本読みの段階から好きだった」、河合は「カナがハヤシに言い放つ『自分で考えろよ、クリエイターだろ?』はキラーフレーズだと思う」とそれぞれピックアップした。
山中監督は「ホンダが買って来た北海道土産のバターサンドとじゃがポックルを見たカナが『甘いのとしょっぱいの嬉しい』というセリフ」を挙げて「撮影現場ではそれを河合さんがどう言うのかを皆が期待していて、河合さんは1億点レベルで言ってくれた」と絶賛すると、河合も「段取りの時にそのセリフがドカンとウケすぎて撮影が中断しました。異常なくらいウケた」と撮影現場でのまさかの反応に驚いていた。
また現実世界と精神世界が反転する“ピンクワイプ”構成について質問が上がると、山中監督は「喧嘩はすればするほどルーティン化していき、演じる様になる気がする。カナは物事を客観的に見る人だと思うので、そんなカナがハヤシとの喧嘩を客観的に見ている様を視覚的に表現したかった」と意図解説。一方、河合は「私としてはピンクワイプから夢だと思っていて、それ以降は喧嘩している時にグラッと一瞬意識が飛んだ時に見たカナの走馬灯だと。自分の記憶や願望がギュギュっと詰まった時間を引き延ばして描いているのではないかと思ったので、現実ではないつもりで演じました」と持論を述べた。
最後に主演の河合は「遅い時間まで付き合ってくれてありがとうございました。有意義な時間を過ごすことが出来て私も楽しかったです。『ナミビアの砂漠』はカッコいい映画だと思っているので、皆さんにようやく見てもらえて嬉しいです。周りの友達にもおススメしてください」とPRしていた。